退職後の生活費が心配なときは、自分が受け取れる給付と、入金までの予定を確認しておきましょう。次の仕事を探している人、再就職が決まった人、病気で働けない人では、対象となる制度が異なります。会社の退職金も含め、自分の状況から確認できます。
「次の会社に入るまで少し空く」「仕事が見つかるまで生活費が心配」「病気でしばらく働けない」。同じ退職でも、確認する制度と窓口は異なります。自分に近い状況から、何を確認すればよいか見ていきましょう。
まず、自分の状況から確認するお金を探す
| 今の状況 | 確認したいお金・手続き | 最初の確認先 |
|---|---|---|
| 退職が決まった | 会社の退職金。制度の有無と自分への適用を確認する | 会社の人事・総務 |
| 65歳未満で退職し、すぐに働ける状態で次の仕事を探している | 失業保険(雇用保険の基本手当) | 住所を管轄するハローワーク |
| 次の会社が決まってから退職する | 最終給与と退職金の支払日。退職前に内定している場合、基本手当・再就職手当は原則対象外 | 会社。給付の判断に迷う場合はハローワーク |
| 基本手当の受給手続き後に再就職が決まった | 再就職手当 | 受給手続きをしたハローワーク |
| 65歳以上で退職し、次の仕事を探す | 高年齢求職者給付金 | 住所を管轄するハローワーク |
| 病気やけがですぐ働けない | 健康保険の傷病手当金の継続給付、基本手当の受給期間延長など | 加入していた健康保険とハローワーク |
表にあるお金をすべて受け取れるわけではありません。加入していた保険、退職理由、働ける状態、手続きの時期などをもとに、それぞれの制度で判断されます。
会社の退職金と、公的な給付は別に確認する
退職金は、会社の退職金制度に基づくお金です。すべての会社に制度があるわけではなく、勤続年数や雇用形態などの条件も会社によって異なります。就業規則や退職金規程で、自分が対象か、金額の計算方法、支払日を確認してください。
「退職金あり」と分かっていても、退職直後に入金されるとは限りません。最終給与と退職金の支払日をそれぞれ聞き、次の収入が入るまで、家賃や生活費をまかなえるか見ておきましょう。
手続きを調べていると、「雇用保険」「基本手当」「失業保険」などの言葉が出てきます。雇用保険は制度の名前で、基本手当はその制度から支給されるお金の一つです。
| 言葉 | 意味・使い方 |
|---|---|
| 雇用保険 | 基本手当や再就職手当などを含む保険制度 |
| 基本手当 | 失業中の生活を支え、再就職を促すための給付の正式名称 |
| 失業保険・失業手当 | 一般に基本手当を指して使われる通称 |
| 失業給付 | 基本手当を指して使われることがあり、公式案内にも登場する表現。文脈によって指す範囲が異なる |
再就職手当も雇用保険の給付ですが、病気やけがで働けないときの「傷病手当金」は健康保険の給付です。公的な給付は、それぞれの窓口で申請します。
次の仕事を探しているなら、失業保険の基本手当を確認する
基本手当は、働く意思があり、すぐに働ける状態で仕事を探しているものの、就職できていない人を支える給付です。主に65歳未満で離職した人が確認する制度で、退職したことだけを理由に自動的に支給されるものではありません。
雇用保険の被保険者期間は、原則として離職前2年間に通算12か月以上が必要です。倒産・解雇などで離職した人や、一定の理由で離職した人は、離職前1年間に通算6か月以上が基準となる場合があります。自己都合か会社都合かを自分だけで決めず、離職票と実際の経緯を窓口で確認してください。
パート・アルバイトでも、雇用保険に加入し、受給条件を満たしていれば対象になります。会社から離職票を受け取り、住所を管轄するハローワークで求職申込みと受給手続きを進めます。
離職票のほか、退職時に受け取る書類を確認したい場合は、退職するときに会社からもらう書類と使い道をご覧ください。源泉徴収票や健康保険の切替に使う書類も、会社へ確認しておけます。
基本手当は、離職前の賃金などをもとに1日あたりの金額が決まり、失業認定を受けた支給対象日数分が振り込まれます。受け取れる日数は、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由などによって異なります。生活費の予定を立てるときは、自分の日額・受給日数・初回入金の見込みを確認しましょう。
基本手当の申請に必要な書類と手順は、失業保険の手続きの流れと必要書類で確認できます。
次の会社が決まっている場合は、入社までの空白だけで判断しない
在職中に次の就職先が決まっている場合は、原則として基本手当の対象になりません。例えば、退職から入社まで2週間空いていても、その空白があるだけで失業保険を受け取れるわけではありません。
また、再就職手当には「受給資格決定前から採用が内定していた会社への就職ではないこと」という条件があります。転職が決まれば一律に支給されるお祝い金ではありません。
すでに内定がある人は、まず最終給与、退職金、次の会社の初回給与の支払日を確認します。内定の取消しなどで状況が変わった場合は、現在の就職予定をハローワークへ伝え、利用できる給付を相談してください。
受給手続き後に再就職が決まったら、再就職手当を確認する
基本手当の受給資格決定後、支給日数を一定以上残して安定した仕事に就くと、再就職手当の対象になる場合があります。主な条件には、7日間の待期が終わってからの就職、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること、1年を超えて働く見込みがあることなどがあります。
再就職手当の額は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら「基本手当日額×支給残日数×70%」、3分の1以上3分の2未満なら「基本手当日額×支給残日数×60%」で計算します。計算に使う日額には上限があります。残りの基本手当を全額まとめて受け取る制度ではありません。
給付制限がある場合、待期満了後1か月以内の就職は、ハローワークや許可・届出のある職業紹介事業者の紹介によることなども条件になります。自分で求人サイトから直接応募した場合や、ハローワークのオンライン自主応募は、この紹介要件を満たしません。給付制限がある人は、応募前に就職予定時期と応募方法を窓口へ伝え、条件を確認してください。
採用が決まったら、入社日と応募経路を受給手続き先へ伝え、「再就職手当の対象になりますか。就職前の届出と申請書類は何が必要ですか」と確認してください。基本手当をすべて受け取るまで、応募や就職を待つ必要はありません。
ほかにも要件があるため、厚生労働省の基本手当・再就職手当のQ&Aと、自分の受給状況を照らし合わせて確認しましょう。
65歳以上で退職したら、高年齢求職者給付金を確認する
65歳以上で離職し、雇用保険の高年齢被保険者だった人は、「高年齢求職者給付金」を確認します。離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あること、働く意思と能力があり、求職活動をしていることなどが条件です。
基本手当のように認定と振込を繰り返す形ではなく、失業の認定を受けて一時金として支給されます。給付額の計算に用いる雇用保険の被保険者であった期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が基準です。過去の加入期間を通算できるかも窓口で確認してください。手続きが遅れ、認定日から受給期限までの日数が少ない場合は、受け取れる額が減ることがあります。
単に年齢が65歳以上というだけでは決まらないため、離職日と加入状況を伝えて確認します。必要書類などは、厚生労働省の高年齢求職者給付金の案内(PDF)で確認できます。
病気やけがですぐ働けないときは、健康保険にも相談する
病気やけがで今すぐ働けない場合は、働けることを前提とする基本手当の申請とは分けて考えます。まず加入していた健康保険へ、傷病手当金を受けられるか相談してください。仕事や通勤が原因の場合は、労災保険について会社や労働基準監督署へ相談します。
健康保険の傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けず、給与が十分に支払われない場合の給付です。退職後も続けて受け取るには、退職日までに会社の健康保険に本人として継続して1年以上加入し、退職日時点で受給中または受給できる状態にあることなどが必要です。退職後に病気になれば誰でも新たに申請できる制度ではありません。
退職後の継続給付には、退職前からの休業状況も関係します。連続3日間の待期を終え、退職日にも病気やけがで働けない状態にあることなどが必要です。退職日や最終出勤日を決める前に、加入している健康保険へ確認してください。協会けんぽに加入している人は、傷病手当金の案内で、退職後の継続給付の条件も確認できます。
あわせてハローワークには、基本手当を受けられる期限を延ばす「受給期間延長」が必要か相談します。これは、延長した期間の生活費が支給される制度ではなく、働ける状態に回復してから受給するための期限を延ばす手続きです。
すでに基本手当の受給手続きをした後に病気やけがで働けなくなった場合は、雇用保険の「傷病手当」が関係することもあります。健康保険の「傷病手当金」とは別の制度なので、受給中の給付も含めてハローワークへ伝えてください。
受け取れる見込みと、実際の入金予定を分けて確認する
給付の対象になっても、その日に振り込まれるとは限りません。会社の退職金と公的な給付は、手続き先も支払時期も別です。次の3点をメモすると、生活費の不足がいつ起こりそうかを考えやすくなります。
| 確認すること | 聞く内容 |
|---|---|
| 自分が対象になるか | 離職日、次の就職予定、働ける状態、保険の加入期間を伝える |
| 申請に何が必要か | 必要書類、提出先、期限、会社などに記入してもらうものを聞く |
| いつ・いくら入る見込みか | 支給額の見込みと初回入金の時期を分けて確認する |
基本手当の入金時期を知りたい場合は、失業保険の初回振込までの流れと、受給を遅らせない準備で、離職票が届かないときの対応や認定日との関係を確認できます。
まず退職予定日、次の仕事が決まっているか、今すぐ働けるかを書き出してみてください。退職金は会社へ、失業中や再就職時の給付はハローワークへ、病気による休業の給付は健康保険へ相談します。
当面の生活費が足りない場合は、給付の入金を待つだけでなく、市区町村の生活相談窓口に現在の収入や家賃の支払い状況を伝えてください。利用できる支援や相談先を確認できます。


