「今日は仕事に行きたくない」と思ったことがある人は多いと思います。しかし、仕事に行きたくないからと言って、簡単に仕事を辞めてしまうわけにもいきませんが、嫌な気持ちを持ちながら毎日会社に行くことはつらいですね。
では、どうするべきか。仕事を続けるのが良いのか、辞めてしまった方が良いのか。
悩みを持たれている人は、それぞれに様々な事情を抱えていますので、一概にどうすべきかということは言えませんが、この人生の重要なターニングポイントを迎えた時に、皆さんがより良い判断ができるよう、次の2つの視点から、参考となる情報を示したいと思います。
- 会社員の皆さんがどのように考え、行動しているかを様々な調査データから見てみる
- 仕事を辞めたくなったときに行うべきこと
本ブログでは、まず一つ目の「会社員の皆さんがどのように考え、行動しているかを様々な調査データから見てみる」について説明します。
会社員の皆さんがどのように考え、行動しているかを様々な調査データから見てみる
多くの人は、まず「仕事に行きたくない」からスタートして、「仕事を辞めたい・転職をしようかな」と考えるようになり、最終的には「転職する」という段階を踏んでいくと考えられます。各段階における人数割合と、その理由を見ていきましょう。
仕事に行きたくないと思う人とその理由
まず、「仕事に行きたくない」と思ったことがあるという人を見ていきましょう。株式会社ビズヒッツ「仕事に行きたくない理由に関する意識調査(2021年1月調査報告)」によると、実に91.2%の人が仕事に行きたくないと思ったことがあるという調査結果でした。意外な結果でしたでしょうか?
この調査では、仕事に行きたくない理由についても、調査しています。
ランキング | 仕事に行きたくない理由 | 人数 n=456 |
---|---|---|
1位 | 人間関係に悩みがある | 155 |
2位 | やりたくない仕事がある | 50 |
同率2位 | 起きるのがつらい | 50 |
3位 | 仕事が忙しい | 44 |
4位 | めんどう/やる気がおきない | 34 |
5位 | 疲れがとれない | 32 |
仕事に行きたくない理由の1位は「人間関係に悩みがある」と回答数の34.0%(155/456)と最も多く、職場の人間関係は仕事に対するモチベーションに大きな影響を与えていることがわかります。
職場の人間関係について
会社員の皆さんは職場の人間関係について、どのように思っているのでしょうか。日本労働調査組合が実施した「職場の人間関係に関するアンケート(2021年7月調査報告)」を実施しています。
答え | 割合 |
---|---|
良好 | 32.1% |
特に気にしていない | 38.7% |
職場の人間関係に疲れている、悩んでいる | 16.5% |
職場の人間関係にストレスを感じている | 12.7% |
”職場の人間関係に疲れている、悩んでいる”、”職場の人間関係にストレスとを感じている”と答えた人は職場の人間関係に悩みがあると捉えると、職場の人間関係に悩みがある人が3割、良好と考える人が3割、そして特に気にしていない人が4割に分かれます。先の調査結果も踏まえると、人間関係に悩みを抱えていると、仕事に行きたくないと思う傾向にあると言えます。
仕事を辞めたい・転職の意向がある人とその理由
次に、一歩進んで、「仕事を辞めたい・転職しようかな」と考えている人はどのぐらいいるのでしょうか?日本労働調査組合が実施した「仕事の退職動機に関するアンケート調査(2021年4月調査報告)」によると、35.8%の人が”退職・転職の意向あり”と答えています。
順位 | 仕事辞めたいと考えている理由 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 職場の人間関係 | 38.6% |
同率1位 | 評価・待遇に不満 | 38.6% |
3位 | 仕事の進行が非合理的 | 26.5% |
4位 | 他にやりたいことがある | 24.3% |
5位 | 仕事の量が多い | 22.2% |
仕事を辞めたい理由として、”職場の人間関係”および”評価・待遇に不満”を挙げている人が同率1位となっています。人間関係の悩みは、仕事を辞めたいと思う気持ちに大きな影響を与えています。
他の調査として、期間工合同会社が全国の会社員を対象として実施した「仕事に対する意欲アンケート調査(2022年11月調査報告)」がありますので見てみましょう。
順位 | 仕事辞めたい理由 | 人数 n=150 |
---|---|---|
1位 | 仕事に疲れた | 33 |
2位 | 上司が嫌い | 27 |
3位 | 人間関係 | 26 |
4位 | 給料が安い・待遇が悪い | 21 |
5位 | 社風が合わない | 12 |
人間関係という点で見ると、2位の”上司が嫌い”と”人間関係”が当てはまりますが、両方の人数を合算すると53名となり、全体の35.3%でした。同様の結果であることがわかります。
2021年に転職した正社員の転職率
実際に転職する人はどの程度いるのでしょうか?株式会社マイナビ「転職動向調査2022年版(2022年3月調査報告)」によると、2021年に転職した正社員の転職率は7.0%でした。
順位 | 転職活動を始めた理由(複数回答) | 割合 |
---|---|---|
1位 | 仕事内容に不満があった | 25.1% |
2位 | 給与が低かった | 22.9% |
3位 | 職場の人間関係が悪かった | 21.6% |
4位 | 会社の将来性、安定性に不安があった | 20.7% |
5位 | 休日や残業時間などの待遇に不満があった | 17.8% |
本調査の転職活動を始めた理由の設問は、複数回答と単一回答の2種類がありますが、複数回答の方を見ていきます。例えば、給料が低いから転職をしたいと考えていたが、職場での人間関係の悩みが最後に背中を押したのかもしれません。逆に、職場の人間関係が良いので、給料が低くてもがまんができるということもあるかと思います。このような場合、単一回答よりも複数回答の方が、より現実を捉えているといえます。
第1位は”仕事内容に不満があった”の25.1%、第2位が”給与が低かった”の22.9%、第3位に”職場の人間関係が悪かった”が21.6%となっています。なお、単一回答の場合では、”職場の人間関係が悪かった”が9.9%で第1位の転職理由となっています。
これまでの転職経験状況
最後に、正社員のこれまでの転職経験についての調査として、株式会社リクルート「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022 第1弾 転職経験や転職意向等について(2022年9月調査報告)」を見てみましょう。
転職経験状況 | 割合 |
---|---|
転職をしたことがある | 51.2% |
情報収集程度の転職活動をしたことはあるが、転職はしたことがない | 7.4% |
実際に応募以上の転職活動をしたことはあるが、転職はしたことがない | 4.5% |
転職活動をしたことはなく、転職もしたことはない | 36.8% |
転職経験者の割合は51.2%となっています。なお、転職活動はしたが転職をしていない人は11.9%となっています。これらの人は、他に魅力的な会社がないケースや転職活動がうまくいっていないケースがあるとみられます。
マイナビの調査との違いについてですが、マイナビの調査では「2021年に転職した人の割合」でしたが、こちらの調査は「これまでに転職をしたことがある人の割合」となっているため、リクルートの調査の方が割合が高くなっています。
順位 | 転職活動を始めた理由(複数回答) | 割合 |
---|---|---|
1位 | 仕事内容への不満 | 25.1% |
2位 | 人間関係への不満 | 22.9% |
3位 | 賃金への不満 | 21.6% |
4位 | 労働条件や勤務地への不満 | 20.7% |
5位 | 成長機会がない | 17.8% |
調査データから読み取れること
複数の調査データから読み取れることを以下に整理したいと思います。
状況 | 全体に占める割合(a) | 各状況に占める人間関係に 悩みがある人の割合(b) | 全体に占める人間関係に 悩みがある人の割合 (c=a*b) |
---|---|---|---|
仕事に行きたくないと思ったことがある人 | 91.2% | 34.0% | 31.0% |
退職・転職の意向がある人 | 35.8% | 38.6% | 13.8% |
1年間で転職した人 | 7.0% | 21.6% | 1.5% |
これまでに転職した人 | 51.2% | 22.9% | 11.7% |
仕事に行きたくないと思ったことがある人は全体の91.2%を占めていますが、それと比較すると退職・転職の意向がある人の割合は35.8%と大幅に低くなっています。退職・転職の意向がある人には、給与が低いことや評価方法に納得がいかないなど、仕事に行きたくないという理由以外から発生する退職・転職意向も含まれています。また、1年間で実際に転職した人は7.0%となっており、さらに割合は低くなっています。このことから、仕事に行きたくないから、退職や転職にすぐにつながるわけではないことがわかります。また、転職・退職の意向があったとしても、1年という短い期間で転職している人は限られますが、長い期間で見ると転職している人の割合は51.2%と高くなります。
次に、人間関係に悩みがある人について見ていきましょう。表の赤のマーカーがある列を見てください。各状況において、人間関係に悩みがある人の割合を示しています。例えば、1行目であれば、人間関係に悩みがあることから、仕事に行きたくないと思ったことがある人の割合は34.0%です。これを見ると、人間関係に悩みがある人は仕事に行きたくないと思うだけでなく、退職・転職の意向が同等以上に高いことがわかります。一方で、1年間で転職した人の割合やこれまでに転職した人の割合は、退職・転職の意向がある人の割合と比較して低くなっています。
以上のことから、人間関係が転職理由の人は、他の転職理由の人と比較して、退職・転職意向は高いものの、転職活動がうまくいかないケースや他に魅力的な会社がないケースなどがあるため、実際に転職するまでに至っていないと考えられます。
仕事がつらい・仕事を辞めたいと思った時に、もし人間関係が理由の一つである場合は、より注意が必要です。